日本中央アジア学会
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『日本中央アジア学会報』の創刊に当たって

2004年3月に開催された第6回「まつざきワークショップ」において、日本中央アジア学会(The Japan Association for Central Asian Studies)の会則が決定され、学会が正式に発足致しました。

近年、日本におけるアジア・アフリカ諸地域に関する諸研究は、飛躍的な発展・拡大をとげてきましたが、中央アジアに関する研究は、質・量ともに限定されたものであり、多くの未開拓の領域を残しています。その一方で、ソ連崩壊と中央アジア諸国の独立など、1990年代以後の新しいアスペクトの出現にともない、中央アジア地域に関する社会的関心や、学術面における社会的要請が高まってきました。また、中央アジアに関する研究を志す若手研究者・大学院生なども増えつつあります。しかし、研究者相互の交流、人的ネットワークづくり、学術情報の交換など、中央アジアに関する学術的研究の体系的進展を図っていくための基盤整備は、いまだ十分ではありません。

 このような状況を踏まえ、本学会は、中央アジアを研究する様々な分野の研究者・大学院生などの相互連携・交流を促進し、中央アジア研究の推進を図ることを目的として設立されました。ここでいう中央アジアは、旧ソ連領中央アジアと中国領中央アジア(新疆)を中心とし、その周辺地域を含んでいます。本学会の活動を機縁として、国家の枠を越えた広域的な中央アジアを対象とし、人文・社会系をはじめとする様々な研究分野にまたがる形で研究者が相互に結びつけられ、学術情報の交換・蓄積が進められる、といった動向が深化していくことが期待されます。

 そしてこのたび、日本中央アジア学会の会誌として、『日本中央アジア学会報』が創刊されることになりました。学会会員の方々の間で相互の情報交換・交流が行われるためのメディアとして役立つとともに、将来的に会員各位の研究成果発表のための場として機能するよう努力していく所存です。本誌の刊行が、ワークショップの開催、ウェブサイトの運営とともに、本学会の活動の機軸として学会をさらに前進させ、ひいては中央アジア研究の発展に向けた契機の一つとなればと念じております。

今後とも会員の皆様方の御理解・御助力をたまわりますよう、御高配のほどよろしくお願い申し上げます。

新免康(中央大学文学部)